歯ツラツくん
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これだけは知っておきたい!!歯科医療従事者向け「訪問歯科診療マニュアル 基礎編」②
投稿者:訪問歯科119番
対象:訪問歯科部門をこれから立ち上げようとしている歯科医療従事者・
訪問歯科部門をさらに拡大したい歯科医療従事者
在宅歯科医療支援機構が約15年間で培った経験を基に、
訪問歯科診療の現場運営・集客方法・保険請求など、あらゆる状況・状態に対応できる
今スグ役立つ内容です。基礎編・応用編・保険請求編の3部構成です。
訪問診療部門の立ち上げから拡大まで、具体的手法を幅広く網羅した画期的なノウハウをわかりやすく
お伝えします。このブログの内容をぜひ参考にしていただき、患者様に対する訪問歯科診療サービスの
質向上につなげてください。
第4節 介護保険制度の仕組み
現在、日本では高齢化が進んでいます。その一方で生まれる子供の数は増えず、少子高齢化が急速に進んでいます。それに伴い、年々深刻になる介護の問題を社会全体で解決するために、介護保険は2000年にスタートしました。
介護保険は、保険者を市町村とし、制度に加入する被保険者を40歳以上の国民すべてとする、社会保険方式によるものです。
(1)介護保険のしくみ
介護保険における 保険者は、市町村です。
そして、40歳以上の国民は全て強制的に介護保険に加入し、被保険者となります。
市町村は、被保険者から保険料を徴収し事業を運営し、介護が必要となった被保険者が介護サービスを利用した場合に保険給付をします。
被保険者は年齢により2種類に分けられます。
■第1号被保険者・・・市町村内に住所をもつ65歳以上の者
■第2号被保険者・・・市町村内に住所をもつ40歳以上65歳未満の医療保険加入者
第1号被保険者は、住所地の市町村に保険料を納め、介護が必要になった場合には、介護サービスを利用できます。
これに対して、第2号被保険者が介護サービスを利用できるのは、介護が必要となった原因が、老化との間に医学的関係が認められる「特定疾病」による場合のみとなります。
(2)介護サービス利用の流れ
介護保険は被保険者であれば誰でも介護サービスをすぐ受けられるものではないのです。
利用にあたっては次の手順を経なければならないのです。
(3)要介護と要支援
介護保険のサービスを利用できるのは、要介護認定を受けた被保険者であり、それぞれ要介護または要支援に区分されます。
(4)ケアプランとは
介護保険制度におけるケアプランとは、要介護者等が介護サービスの適切な利用をすることができるよう、心身の状況、その置かれている環境、要介護者等及びその家族の希望等を勘案し、利用する介護サービスの種類及び内容、担当者その他厚労省令等が定める事項を書面によって計画したものです。
介護保険の基本理念は、高齢者が自分の意思にもとづいて自立した生活を送ることができるように支援することとされています。介護の必要な一般の高齢者は、どのようなサービスをどの程度利用すればよいか、またそのときにどれくらいの費用が必要なのかを、自分の意思で選択・決定することは非常に困難です。それを支援するために導入されたのが、ケアマネジメント(居宅介護支援サービス)のシステムです。
(5)ケアマネージャー(介護支援専門員)の役割
居宅介護支援サービスを提供するものを居宅介護支援事業者といい、居宅介護支援サービスを提供する人をケアマネージャー(介護支援専門員)といいます。
要介護認定を受けた要介護者が介護サービスを利用しようとするとき、市町村に作成者を届け出てからケアプランを作成し、それにそってサービスを利用しなければ給付を受けられません。
ケアプランは自分で作成することもできますが、通常は、ケアマネージャーに依頼します。ケアマネージャーは、それぞれの利用者のニーズに合わせ、支給限度基準額をこえないよう調整しケアプランを提案、本人やご家族と相談しながらケアプランを作成します(要支援者のケアプランは、地域包括支援センターが作成します。場合によっては、地域包括支援センターから委託を受けた居宅介護支援事業者のケアマネージャーが作成することもあります)。
また、ケアマネージャーは、サービスが円滑に行われるようサービス事業者との連絡・調整を行い、適正なサービスを受けられているか定期的な監視や、費用・負担額の算定を行う給付管理業務を行います。
要介護者はいろいろなサービスを利用しており、必ずしも患者の照会を受けた事業所に勤務するケアマネージャーが、その患者の担当ケアマネージャーとは限りません。
ケアマネージャーは、要介護者を取り巻くネットワークの核となる人物です。
そのため、訪問歯科診療の初診時には、必ず担当のケアマネージャーの連絡先を確認して下さい。
我々は、ケアマネージャーを核として患者の輪を広げていきます。
[ ケアマネージャーの主な職務 ]
①要介護認定の支援
■要介護認定を受けようとする方や家族への相談・助言
■要介護認定の申請代行,更新申請代行
②ケアマネジメント
■利用者や家族への相談・助言
■ケアプランの提案・調整・作成
■ケアプランに基づくサービス提供の連絡・調整
■サービス利用の定期的な監視
③給付管理
■国民健康保険団体連合会への給付管理票の提出
第5節介護サービスの種類
(1)居宅サービスと介護予防サービスの種類
居宅サービスには、介護や入浴介護、看護、リハビリなどのサービスを自宅で受けるものと、通所や短期入所によりサービスを受けるものがあります。その他に、福祉用具や住宅改修などの費用が支払われる種類のものがあります。
居宅サービスの対象者は、「要介護者」のみで、要支援者は対象となりません。
居宅サービスと同様のサービスで対象が「要支援者」であるものを、介護予防サービスといいます。
①訪問介護・介護予防訪問介護
一般的には、ホームヘルプサービスといわれます。食事や排泄・入浴・衣類の着脱・通院介助等の「身体介護」と、掃除・洗濯・買い物などの「生活援助」に区分されます。
②訪問入浴介護・介護予防訪問入浴介護
利用者のご自宅に浴槽や必要な機材を持ち込み、入浴の介護を行うサービスです。介助をしても自宅の浴槽に入れない方や、通所による入浴もできないような重度の方が対象となります。
③訪問看護・介護予防訪問看護
看護師や保健師等が利用者のご自宅を訪問し、医師の指示のもと、療養上の世話や医療処置を行うサービスです。
④訪問リハビリテーション・介護予防訪問リハビリテーション
理学療法士や作業療法士が利用者の自宅を訪問し、医師の指示に基づき、理学療法や作業療法等のリハビリテーションを行うサービスです。
⑤居宅療養管理指導・介護予防居宅療養管理指導
医師、歯科医師、看護師、薬剤師等の医療従事者が利用者のご自宅を訪問し、療養上の管理及び指導を行うサービスです
⑥通所介護・介護予防通所介護
一般的には、デイサービスといわれます。
利用者は、デイサービスセンターや養護老人ホーム等に日帰りで通所し、入浴や食事、健康維持や機能訓練等のサービスを受けます。
⑦ 通所リハビリテーション・介護予防通所リハビリテーション
デイケアといわれます。利用者は、介護老人保健施設や病院、診療所などに通所し、理学療法士や作業療法士などによるリハビリテーションを受けます。
⑧短期入所生活介護・介護予防短期入所生活介護
ショートスティといわれます。利用者が介護老人保健施設などに短期間(数日から1週間程度)入所し、入浴や排泄・食事・機能訓練などのサービスを受けます。
⑨短期入所療養介護・介護予防短期入所療養介護
ショートスティですが、医療的な側面が強く、医学的な管理のもとで介護・機能訓練・日常生活上のサービスを受けるものです。
⑩ 特定施設入居者生活介護・介護予防特定施設入居者生活介護
介護保険の指定を受けた有料老人ホーム等に入所している要介護者又は要支援者が受けられるサービスです。入浴や排泄・食事・機能訓練や療養上の世話等を行うものです。
⑪福祉用具貸与・介護予防福祉用具貸与
利用者等が自立した生活を送れるように、車椅子や特殊ベッド等の福祉用具をレンタルするサービスです。
⑫特定福祉用具販売・特定介護予防福祉用具販売
福祉用具のうち、入浴や排泄など、レンタルになじまないものについて、購入費の9割を給付してもらうものです。
⑬住宅改修費支給
要介護者等が自宅で安全に快適に過ごせることを目的とした一定の工事に対して、住宅改修費の9割が支給されます。対象工事内容は、手摺りの取り付けや、段差の解消、床材や扉の変更などがあります。
(2)施設サービスの種類
要介護認定を受けた人のうち、要介護1~5の方は、介護保険施設に入所し、介護や看護、リハビリテーション、療養などのサービスを受けることができます。
介護保険施設には、次の3種類があります。
①介護老人福祉施設
特別養護老人ホームが都道府県知事の指定を受けて介護保険施設となったものです。入浴や排泄、食事などの介護が中心の施設です。
②介護老人保健施設
介護と医療の両方のサービスを提供する施設で、病院から家庭へ復帰するための中間的な施設といえます。
③介護療養型医療施設
医療的な側面がもっとも強い施設です。療養上の管理、看護、医学的な管理のもと介護や機能訓練などのサービスを提供するものです。
(3)地域密着型サービス及び地域密着型介護予防サービスの種類
地域密着型サービスは、平成18年4月1日から新設されたサービスで、小規模多機能型居宅介護事業や、夜間対応型訪問介護事業等があります。
また、以前は居宅サービスの類型に含まれていたグループホーム(認知症対応型共同生活介護事業)も、新しい類型では、この地域密着型サービスに含まれることになりました。
対象者が要介護者のサービスを地域密着型サービスといい、対象者が要支援者のサービスを地域密着型介護予防サービスといいます。
①夜間対応型訪問介護
訪問介護員等が、夜間において利用者宅を定期的に訪問し、緊急の通報に随時対応など、包括的に夜間訪問介護を提供するサービスです。
②認知症対応型通所介護・介護予防認知症対応型通所介護
通所介護(デイサービス)の特殊例で、認知症の利用者のみを対象とするサービスです。
③小規模多機能型居宅介護・介護予防小規模多機能型居宅介護
通所サービスと宿泊サービス、訪問サービスを一体的に柔軟に提供するサービスで、利用者にとってはなじみのある事業所において、様々なサービスをうけることができるという、優れたサービスです。
④認知症対応型共同生活介護・介護予防認知症対応型共同生活介護
グループホームといわれます。
要介護者のうち、中程度までの認知症高齢者が受けられるサービスで、小規模な施設で共同生活をおこなうものです。
⑤地域密着型特定施設入居者生活介護
利用定員29人以下の特定施設(有料老人ホーム)です。
(4)介護保険における歯科の役割
歯科医療機関が行う介護保険上のサービスは「居宅療養管理指導」です。
これは、歯科医師が行う場合と歯科衛生士が行う場合の2種類があります。
① 歯科医師が行う場合
通院が困難な利用者に対して「指定居宅療養管理指導事業所」の歯科医師が、訪問して計画的、かつ継続的な歯科医学的管理に基づく指導・助言を行います。
② 歯科衛生士が行う場合
「指定居宅療養管理指導事業所」の歯科衛生士等が、計画的な歯科医学管理を行っている歯科医師の指示に基づき、居宅を訪問して療養上必要な指導として患者の口腔内の清掃または有床義歯の清掃に関する実地指導を行います。
介護保険で「居宅療養管理指導」を請求する場合、医療保険で重複する項目は算定できなくなります。
算定できない項目としては次のようなものがあります。
■ 訪問歯科衛生指導料(360点,120点)
■ 歯科疾患在宅療養管理料(140点+50点,130点)
■歯科疾患管理料(110点)
介護保険の居宅療養管理指導は、医療保険の医学管理(指導)より優先します。患者が介護保険の認定を受けている場合、上記の項目を算定するような治療を行ったケースでは、介護保険の「居宅療養管理指導」で算定しなければなりません。
「居宅療養管理指導」は介護保険の支給限度額管理の枠外になりますので、要介護者が限度額いっぱいまで介護サービスを利用していても、自己負担分は1割(現役所得並みの方は3割)で済みます。
高齢者、要介護者、障がい者の方への在宅歯科 診療、訪問歯科診療(歯科訪問診療)、口腔ケア、口腔リハビリのご相談は訪問歯科119番/在宅歯科医療支援機構 0120-763-182
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